少し前ですが、富良野の陶芸家、恒枝直豆さんが北海道での最後の窯焚きを行うというので、見学させてもらいに行ってきたんです。
恒枝さんや富良野のアーティストたちが活動の場所としていたアートファーム南陽館が閉館となるなどの事情により、夏ごろには引越ができるようにと準備を進めているとのこと。
恒枝さんは年に2回、窯焚きを行うので、これが最後になるというわけ。
北海道の土も試したりしているみたいだけれど、基本は備前の土で作り、富良野のカラマツで焼き締めるという方法で、備前焼の器などをいろいろなものを作っていて、その器を我が組もいくつか使わせていただいている。
さて窯はというと、この建物の中にあるわけではなく、この裏側にあるD型ハウスの中にあります。
それもそのはず。窯は11メートルあるといわれる大きな穴窯。
実物を見ると、もっと大きいんじゃないかと思うくらい迫力。
中に入ったこともあるのだけれど、天井は低めだけれど家族で充分に住めるくらい大きい。
この窯に、1週間以上かけ窯詰めし、窯焚きを6日間ぶっ通しで行い、5日間くらいかけて冷ましてから取り出すという工程。これだけ大きな窯をゆっくり1200度以上にまで全体を温度を上昇させ、そのあと冷ますわけですから、炎も人もすごいエネルギー。
しかも1回の窯焼きに、この窯いっぱいに入るくらいの作品をつくり、薪も、窯に合うように11トントラックいっぱいの丸太のカラマツを自分で割っているのだから、陶芸家は体力もいるんだなと陶芸家と会うたびによく思う。
ところでこの窯、当館にある薪ストーブに入る薪の量の数倍を5分程度で燃焼してしまうほどの薪食い虫。そんな火力なので、かなりのドラフトが発生するようで、薪の投入口近くにあるものは簡単に吸い込まれてしまうほどの力。実際、ちょっとした薪の破片があっても、するするするっと入っていくのにはビックリします。
この燃焼につきあうために薪は5分おきに温度を見ながら薪を投入するというのを繰り返すとのこと。
火加減や状態というのは感覚や温度計はもちろん、いろいろな方法で探ることもされるようで、その方法や見方とかも親切に教えてくれて、焼き物についてより深く知ることができ、そうやって得た知識をもって、あらためて作品を見てみると、なるほどそういうことかという発見もあったりして、より深く見ることができるようになった気がする(本当か?!)。
そうやってできあがった作品が見られるギャラリーはもう閉めてあるみたいなのですが、作品自体は購入できるとのことなので、いくつか購入。
たくさんありすぎて、テーマを絞らざる得なかったけど、いいものと出会えた。
あと、このあたりで生活している猫さんともご挨拶。
猫が来てから、ネズミがでなくなった……というのは良く聞くけれど、ネズミがいなくなって、蛇もいなくなったということを聞いた。
役立ってるじゃん、猫!
ところで、今回購入したのは昨年までの作品だったけれど、今回の窯焼きの作品も含めて、倉敷や札幌、弟子屈、えべつやきもの市などで出会えるようですので、興味のある方は是非。
我が組も、どんな作品ができあがっているのか楽しみ。
ちなみに器だけじゃなく、窯の上でにあった、こういう動物ものもありますよ。